提言104:2015 国際数学・理科教育動向調査/国際学習到達度調査の結果

           -基礎学力向上 理科離れの改善は未だ-

 

 2016年11月29日、国際教育到達度評価学会(以下「IEA」という)が2015年に実施した「国際数学・理科教育動向調査(以下「TIMSS」という:Trends in International Mathematics and Science Study)」の調査結果を公表した。それに引き続いて、2016年12月6日には、経済協力開発機構(以下「OECD」という)が2015年に実施した「国際学習到達度調査(以下「PISA」という:Programme for International Student Assessment)」の結果を公表した。

 日本の教育の在り方に大きな影響を与えてきた国際的な2つの学力調査の結果が出そろったことになる。

 東京都教育会は、これまでTIMSSとPISAの調査の結果を考察した提言を本会ホームページに4回掲載した。

 本提言では、2015 TIMSSと2015 PISAの調査結果を考察し、筆者の見解を述べてみたい。

 

Ⅰ.国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)と国際学習到達度調査(PISA)の違い

 学力の国際的な調査として、TIMSSとPISAの2つがある。TIMSSの調査は4年ごと、PISAの調査は3年ごとに実施される。したがって、12年ごとに2つの調査が同一年度に行われることになる。

 

1.国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)

 TIMSSは1958(昭和33)年に設立され、67カ国・地域の教育研究機関で構成するIEAが4 年に1 回実施する国際学力テストである。

 TIMSSの調査目的は、初等中等教育段階における児童生徒の算数・数学及び理科の教育到達度を国際的な尺度によって測定し、児童生徒の学習環境条件等の諸要因との関係を分析することである。調査は4年ごとに行われ、国際的な調査結果を用いて各国の教育施策に役立てられている。

 同調査では小学校4年生と中学校2年生を対象としている。前回の調査に参加した小学校4年生の児童が成長した4年後(中学校2年)に再び調査を受けることになる。

 調査内容は、児童生徒を対象とした算数・数学、理科の問題の他に、児童生徒質問紙、学校質問紙による調査が実施される。

 2003(平成15)年には、第5回TIMSS 2003と第2回PISA2003が同一年度に実施された。そして、再び2015年の同一年度に、第8回TIMSS 2015と第6回PISA 2015が実施された。小学校4年生と中学校2年生が算数・数学と理科の問題を受けた。調査結果に基づいて、主に学校で学んだ内容について、「知識」、「技能」、「問題解決能力」の習得状況が評価される。

 

2.国際学習到達度調査(PISA)

 OECDが実施するPISAは、義務教育修了段階(15歳)において、生徒が身に付けてきた知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測ることを目的としている。また、調査結果の国際比較により教育方法を改善し標準化する観点から、生徒の成績を研究することも目的としている。

 PISAでは読解力(注1)、数学的リテラシー(注2)、科学的リテラシー(注3)、の3分野について調査する。あわせて、生徒質問紙、学校質問紙による調査を実施している。

 調査プログラムの開発は1997年に始まり、第1回調査は2000(平成12)年、以後3年ごとに調査を実施してきた。2015(平成27)年の調査は第6回目である。

 調査においては、毎回重点分野を決め、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシー、の順番で移行していく。したがって、2000年は読解力、2003年は数学的リテラシー、2006年は科学的リテラシー、2009年は読解力、2012年は数学的リテラシー、2015年は科学的リテラシーが重点分野とラシー、2Ⅱ.国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)

 戦後日本の教育が大きく注目されるようになった1つの契機は、IEAが実施した数学と理科の教育調査で日本の中学生が優秀な成績を収めたことにある。1964(昭和39)年の第1回数学調査(12か国参加)では日本の中学生の成績がイスラエルに次いで第2位となった。また、1970(昭和45)年に実施された第1回理科調査(19か国参加)でも、日本の中学生が最高の成績を収めた。さらに、1980(昭和55)年~1982(昭和57)年及び1983(昭和58)年にはそれぞれ数学、理科の第2回の調査が行われ、ここでも日本の中学生は極めて優秀な結果を収めた。

 

1.これまでのTIMSS結果とその経緯

  1995(平成7)年からは、TIMSSとして、算数・数学と理科を同時に行うことになった。第1回調査は1995(平成7)年、以後4年ごとに調査を実施してきた。2015年の調査は第6回目である。

 調査対象は、小学校4年生と中学校2年生とした。小学校4年生の調査に参加した学年が4年後の中学校2年生で調査することにより、その間の変化を調べることが重要と考えたものと推察される。

 IEAが行うTIMSSは、文化・社会・経済などそれぞれ異なった背景の下で、各国における教育条件と学習到達度との関係を研究するという目的で行われたものであり、必ずしも到達度そのものの優劣を比較するという意図を持つものではなかった。しかし、この調査結果は、日本の数学・理科教育、ひいては教育全体の水準の高さを示すものとして国際的にしばしば引用されるようになった。

 

2.TIMSS 2015年調査の結果と課題

 TIMS 2015年調査には、小学校は50か国・地域(約27万人)、中学校は40か国・地域(約25万人)が参加した。一部の国で調査対象と異なる学年が調査を受けたため、それらの国は参加国に含めていない。したがって、図表-1の参加国数の違いがある。日本は、148校の小学校4年生約4400人、147校の中学校2年生約4700人が参加した。

 日本の小学校4年生と中学校2年生の平均点がいずれも過去最高になった。一方、数学や理科が「楽しい」「得意だ」と答える中学校2年生の割合は国際平均を下回り、学習への関心や意欲をどう育てるかに課題が残った。

(1)日本のTIMSS得点の推移

 日本は全4教科の平均点でいずれも1995年の調査開始以来、過去最高を記録した。

 テストを受けた小学校4年生は、1年生の時から「脱ゆとり教育」で授業時間が増えた現行学習指導要領の対象となり、中学校2年生も先行実施された現行学習指導要領で小学校3年生から学んできたことが、成績アップに繋がったとも考えられる。

 文部科学省(以下「文科省」という)は「理科の実験などを重視した現行学習指導要領下での学習や、2007(平成19)年度に始めた全国学力・学習状況調査(以下「全国学力テスト」という)による指導改善が奏功した」と分析している。

 図表-1の「平均得点の推移」は過去の結果と比較できるよう95年の国際平均点を500点とし、得点を統計処理したものである。

 

図表-1 平均得点の推移

 基礎知識の習熟度(理科)を調査するTIMSSにおいて、日本の小学校4年生の550点以上が44%、中学校2年生は39%で過去最高となった。小学校47の参加国の中で日本の児童は第3位、中学校39の参加国の中で日本の順位は第2位である。基礎学力が習得されてきたことが分かる。

 TIMSSは基本的な知識・技能に関する問題が多い。今回の日本の平均点は過去最高で基礎学力が向上したことは明らかである。一方シンガポールは全科目(算数・数学、理科)で首位を独占した。

(4)日本の質問紙調査の結果(理科)

小学校においては、「理科は楽しい」と回答している児童は約90%となっており、国際平均を上回っている。しかし、中学校は66%で国際平均の87%を21ポイント下回っている。また、「将来、自分が望む仕事につくために、理科で良い成績を取る必要がある」と回答している生徒は51%で、国際平均の72%を21ポイント下回っている。この調査結果から依然として、「理科離れ」が解消しているとは考えられない。

 

Ⅲ.国際学習到達度調査(PISA)

 PISAは、義務教育で習得した知識等を実生活に活用する力を問う調査で、実施は3年に1度である。世界の標準値を500点と設定し、偏差値化した得点で国・地域ごとに比較できるようになっている。

 PISA 2015から、コンピューター画面上での出題・解答方式を導入した。日本では、全国198校の高校1年生計6600人が参加した。

 

1.これまでのPISAの結果とその経緯

 第1回PISA 2000は2000(平成12)年に始まり、今回のPISA 2015で6回目に当たる。第1回PISA 2000から第5回PISA 2012までの経緯は次の通りである。

(1)日本の学力が世界トップレベル時代

 1970(昭和45)から1980(昭和55)年代におけるTIMSSとPISA 2000(数学的リテラシーが1位、科学的リテラシーが2位、読解力が8位)における日本の児童生徒の学力は、世界のトップクラスにあった。1970年代から2000(平成12)年までの30年間にわたって、学力世界トップレベルを守り続けてきたことになる。

(2)PISAショック

 PISA 2003(平成15)の調査結果では、PISA 2000(平成12)で1位だった数学的リテラシーが2003(平成15)には6位、科学的リテラシーが2位から2位と順位は変わらなかったが、得点は550点から548点と2点低下した。読解力が8位から15位、全分野で順位を下げ成績が軒並みダウンした。

 PISA 2006(平成18)の調査結果では、日本は数学的リテラシーが10位、科学的リテラシーが6位、読解力が15位と、全分野で2003(平成15)年よりも順位を下げた。学力が世界のトップレベルから転落したことが明確になった。

  PISA 2003(平成15)とPISA 2006(平成18)の調査結果を受けて、教育関係者には「PISAショック」という言葉で、日本の児童生徒の学力低下が問われるようになった。

 PISA 2006(平成18)年の調査対象となった高校1年の生徒は、詰め込み教育からの脱却を図った「ゆとり教育」を掲げた学習指導要領の下で、小学校6年生の時から授業を受けてきた世代である。「生きる力」を育むという理念に基づいて「確かな学力」を育成する教育であったが、充分な学力は身につかなかった。

 文科省も「わが国の学力は世界トップレベルとは言えない」と危機感を強めた。2005(平成17)年には「読解力向上プログラム」を策定し、2007(平成19年)には、PISAと類似問題を出す「全国学力調査」を43年ぶりに復活させた。

(3)PISAショックからの脱出

 PISAショック(2003~2006年)後、「ゆとり教育」から学力向上へと本格的にかじが切られた。文科省は2008(平成20)年の学習指導要領改訂で、小中学校とも主要教科の授業時間を10%以上40年ぶりに増やし、「脱ゆとり」を鮮明にした。

 PISAショックからの立ち直りを目指し、学校では習得した知識の活用、柔軟な思考力や表現力、問題を解決する力などの育成を目指した授業の改善を進め学力向上を図ってきた。

 PISA 2012(平成24年)において、日本の生徒の正答率は、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーなど、3分野で平均点が向上し無答率は減少した。

 学校での学習時間が増え、現場の教員の授業改善に向けた努力と教育政策の成果と考えることができる。

 

2. PISA 2015 調査の結果と課題

 PISA 2015は72か国・地域の15歳生徒計54万人を対象に実施された。日本は198校、6000人の高校1年生が参加した。

 PISAの3分野(読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシー)で、今回重点的に調べたのは、現象を科学的に説明する等の科学的リテラシーである。

(1)日本の高校1年生「読解力」が課題

 日本は数学的リテラシーが5位、科学的リテラシーが2位に順位を上げた。しかし、読解力は8位に下がった。

 

図表-3

 文科省は読解力の正答率の低下について「問題表示や解答が用紙での筆記からコンピューターの使用に変わったこと、読書量の減少などで、長文に接する機会が減ったことが原因の可能性がある」と分析している。しかし、日米中韓4か国を対象にした2014年度のSNSに関する調査では、日本のSNSの利用率は、82.9%で、他国より10ポイント高かった。スマートフォン等、SNSなどの頻繁な短文のやりとりに慣れたり、情報を専らネットに頼ったりしているため、論理的な長い文章を読む機会が減っていることにも要因あると考える。また、文章や資料などから情報を把握し、論理的に自分の考えを記述する能力が低下しているようにも考えられる。

 この結果を真摯に受け止め、論理的な文章を読み解いたり、身近な語彙の習得を促したりする指導の徹底が重要と考える。

 

(2)数学的リテラシーと科学的リテラシー

 一方、数学的リテラシーは2003年以降で最高だった前回より4点低い532点だったが、5位に上がった。科学的リテラシーの平均点は538点で、2006年以降で最高であった前回より9点低いが、順位は2位に上がった。

(3)PISA 2015年上位アジア勢シンガポールが「3冠」

 調査に参加した72国・地域別に成績をみると、上位にアジアの国々が目立つ。3分野とも1位だったのはシンガポールで、TIMSS 2015の成績と合わせると7冠である。

 シンガポールがトップ独占の理由を読売新聞(2016年12月7日付)は、「シンガポールでは、5年生から科目ごとに習熟度クラスに分け、低学力層の成績の引き上げを進めている。算数、理科、英語などの卒業試験の成績によって、中学校は“快足(4年)”、“普通学術(5 年)”、“普通技術(4年)”の3コースに分け、小学校卒業試験の結果を基に大学へ進学できるかどうかが判定される」と報じた。激しい競争とエリート教育による結果がトップ独占に繋がったものと考えられる。しかし、激しい競争意識に支えられた教育システムは、国民一人一人が協働で国を支える力になるのかどうか疑問である。

(4)日本では理数系は向上したが読解力は低下

 

図表-4 上位15加国・地域の国際比較

  72か国・地域における日本の成績は、前述したように、読解力8位、数学的リテラシー5位、科学的リテラシー2位であるが、OECD加盟国(34か国)だけでみると、読解力6位、数学的リテラシー1位、科学的リテラシー1位だった。現行学習指導要領は、前述したように、算数・数学、理科を中心に学習内容が増えた。文科省は数学と科学の好成績を「実験や観察に力を注いだ授業の効果が大きい」と分析している。しかし、現場の教員の「PISA型」授業改善の努力もあったと考えられる。

3.PISA 2015科学的リテラシー

 PISAは毎回3分野の1つを重点分野とし、調査時間の1/2を当てるほか、新たに作成した問題を出題し一部は公表されている。今回の重点分野となったのは科学的リテラシーでは、過去に出題した共通の85問と新規99問の計184問が出題された。日本の平均正答率は58%で、前回より5ポイント低かったがシンガポールに続く2位となった。「無答率」も3ポイント低くなり全体的に改善した。基礎的な問題では正答率が90%に達し成果が上がった。一方、中難度の問題の正答率は42%、高難度の問題の正答率は8%に止まった。様々な状況を想定し、論理的に説明する問題などには課題がある。

(1)科学的リテラシーを育成する3つの科学的能力

 下記の図表-5からも分かるように、PISA 2015の重点分野である科学的リテラシーの平均得点について、科学的能力別でみると、日本は各能力とも国際的に上位である。しかし、「現象を科学的に説明する」能力と「データと証拠を科学的に解釈する」能力の2分野に比べて、「科学的探究を評価して計画する」能力が相対的に低い。しかし、シンガポールは、「科学的探究を評価して計画する」能力が最も高く、日本を24点上回っている。

図表-5 科学的リテラシーの平均得点の国際比較(上位6か国)

 

(2)習熟度レベルにおける日本の割合

 調査分野ごとに、習熟度を一定の範囲で区切ったものを習熟度レベルと呼んでいる。習熟度レベルにおける、数学的リテラシーは7段階、読解力は8段階(2009年調査より)、科学的リテラシーは8 段階(2015年調査より)である。

図表- 6 科学的リテラシー全体における習熟度レベル別の生徒の割合(%)

  生徒の習熟度を8段階でみると、日本は15.3%が上位2層に入った。この割合はシンガポール、台湾に次ぎ3番目に高い。現象を科学的に説明したり、データを解釈したりする問題の成績は良好であるが、科学的探究を評価し計画するはやや低い。

(3)科学的リテラシーに関する意識調査

 PISAの意識調査は毎回、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野のうち、1分野に関する内容で実施することになっている。科学的リテラシーを取り上げたのは2006年以来である。

 図表-7  科学に関する意識

 「科学の話題について学んでいるときは、たいてい楽しいかどうか」を質問した項目で「まったくそう思う」、「そう思う」と解答した割合は49.9%(2006年比1.4ポイント減)で、OECD平均(62.8%)を12.9ポイント下回った。シンガポール(84.0%)や香港(75.8%)との差は大きい。

 このような実態に文科省は「小学校で理科が好きでも、中学校ではより体系的に学ぶことが重視され、おも

しろさを感じられなくなる生徒がいる」としている。非常に気になるコメントである.

 理科の成績は良くても学年が上がるにつれ理科をおもしろいと思わなくなり、生活や将来の職業とも結び付きにくくなっているという現状が明らかになった。今なお「理科離れ」の傾向が解消されていないことは明白である。一方では教師自身のいわゆる「理科離れ」が深刻で授業改善に対応できるかどうかという不安もある。

♦ 注釈

 注1: 読解力

       自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、

   熟考し、これに取り組むことである。

 注2 :数学的リテラシー

   様々な文脈の中で数学的に定式化し、数学を活用し、解釈する個人の能力のことである。それに

   は、数学的に推論することや、数学的な概念・手順・事実・ツールを使って事象を記述し、説明

   し、予測することを含む。この能力は、個人が現実世界において数学が果たす役割を認識した

   り、建設的で積極的、思慮深い市民に求められる、十分な根拠に基づく判断や意思決定をしたり

   する助けとなるものである。

 注3:科学的リテラシー

      思慮深い市民として、科学的な考えを持ち、科学に関連する諸問題に関与する能力である。科学

   的リテラシーを身に付けた人は、科学やテクノロジーに関する筋の通った議論に自ら進んで携わ

   り、それには以下の能力を必要とする。

   ・現象を科学的に説明する:自然やテクノロジーの領域にわたり、現象についての説明を認識

    し、提案し、評価する。

   ・科学的探究を評価して計画する:科学的な調査を説明し、評価し、科学的に問いに取り組む方

    法を提案する。

   ・データと証拠を科学的に解釈する:様々な表現の中で、データ、主張、論を分析し、評価し、

    適切な科学的結論を導き出す。

 

◆ 参考・引用文献

 ① TIMSS 2015  国立教育政策研究所

 ② OECD 2015  国立教育政策研究所

 ③ 読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞、朝日新聞デジタル、産経ニュース(デジタル)

                                         2017.1.17

 図表-1 「平均得点の推移」から分かるように、日本の平均点は小学校4年生の算数が前回より8点高い593点、理科は10点高い569 点、いずれも 2回続けてアップした。中学校2年生の数学が16点高い586点、理科が13点高い 571点横ばいから大幅にアップした。  参加国順位では小学校4年生の理科が1段上がって3位、中学校2年生の理科が2段上がって2位となり、過去最高を更新した。小学校4年生の算数と中学校2年生の数学はいずれも前回と同じ5位だった。009年は読解力、2012年は数学的リテラシー、2015年は科学的リテラシーが重点分野となった。

 

(2)TIMSS 2015における各教科の成績(理科)

 理科において、小学校・中学校ともに、前回調査と比較(図表-2参照)して、算数・数学と同じように、550点未満の児童生徒の割合が減少し、550点以上の児童生徒の割合が増加した。また、2003(平成15)年調査以降、550点未満の児童生徒の割合が減少し、550点以上の児童生徒の割合が増加している傾向が明らかになった。他の上位国・地域と比較すると、625点以上の児童生徒の割合が低いことが課題と考えられる。

(3)TIMSS 2015に参加した上位5か国の習熟度別の児童生徒の割合

 

図表-2上位5か国の習熟度別の児童生徒の割合(理科)